理論編

2節アナログからディジタルへ

1情報のディジタル表現

2進法と16進法

コンピュータは2進法(2の累乗を位取りの元にして,0と1で数を表す方法。)の世界であり,全ての情報を0と1の組み合わせで,扱っている。しかし,コンビュータ内部のデータを表現するとき,2進法は人間にとっては長くて扱いにくいため,しばしば,0〜9とA〜Fの 16種類の数字と文字を使った16進法が用いられる。

情報の量の単位

2進法の1桁をビット(情報の量の最小単位。コンピュータでは0と1の2進法で表現する。)と呼び,8ビットを1パイト(2進法の8桁で表現される情報の量の単位。Bという記号で表す。)と呼ぶ。コンビュータではいろいろな量の情報を扱うため,情報量によって単位を使い分ける。
表2 単位の大きさと用途例
KB(1000Bを表すときは,小文字のkを使う。1kB=1000B 1KB= 1024B)

文字のディジタル表現

文字は,それぞれにコードとして2進法などの数値が対応している。半角の文字や記号は8ビット,日本語の漢字やひらがなは16ピットで表現される。
「lCT」の文字コード(JIS8ビットコード)
ICT 01001001 01000011 01010100 49 43 54

「情報」の文字コード(JIS16ビットコード)
情報 0011111001110000 010010 1001110011 3E70 4A73

表3 JIS8ビットコード表

memo

文字には,いくつかのコード体系がある。アルファベットでは,7ビットのASCIIが使われている。日本語の場合は,JIS16ピットコード,シフトJISコード,EUC-JPが使われている。また,各国の言語に広く対応しているユ二コードもある。

AD変換

コンピュータは,音声,映像,動画などを2進法で表現するために,AD変換を行う。これは,連続的に変化するアナログデータ(音声や画像などの連続的な変化量をそのまま電流や電圧 の変化に置き換えたデータ。)を,離散的に変化するディジタルデータ(連続的な変化量を離散的な数値(とびとぴの値)で表すことをディジタル化といい,この方法で表現されたデータのこと。)に置き換えることである。


図1 アナログとディジタルの違い
実験用: ドキュメント

画像のディジタル表現

画像を画素ピクセル)という小さな区画の集合に分割する(標本化)。どれだけ細かい画素に分割するかを解像度(1インチ(25.4mm)当たリのドット数で表し,dpiという単位を用いる。解像度が高ければきめ細かな画像になるが,ファイルのデータ量が大きくなる。本来,解像度は画素の密度を示すが,ディスプレイを1024×768と表すように,表示できる画素の総数として用いられる場合がある。ディスプレイに表示させる場合は72dpiか96dpi,印刷する場合には360dpi程度の解像度が必要となる。)という。

次に,それぞれの画素を色の組み合わせで表す(量子化)。このとき何段階に分けるかを階調という。その情報を2進法にする(符号化)。
図2 画像のディジタル化
図3 階調の変化による画像表現の違い

光の三原色

コンピュータのディスブレイは,赤(R:Red),線(G:Green),青(B:Blue)の光の三原色によって表現されている。暗いディスプレイに色を加えることにより明るさが増し,白に近づく。これを加法混色という。

これに対して,絵の具は色を加えるほど黒に近づく。これを減法混色という。色材の三原色とは,全ての色を表現するための基本となる色で,シアン(C:Cyan),マゼンタ(M:Magenta),イエロー(Y:Yellow)の3色を指す。カラープリンタは,これに基調となる黒を加え,4色のインクあるいは卜ナーを混合して利用しているものが多い。

動画像のディジタル表現

動画像は,一定の時間間隔でフレ一ム(動画像を構成する1枚1枚の静止画のこと。)に区切り,フレームごとに画像をディジタル化する。これらの画像は不連続な静止画にすぎないが,次々に提示することにより,それぞれの残像(直前に見た像がしばらくの閤,目に焼きついている現象のこと。残像は,人間の知覚特性によって起こる。)のため,連続的に変化する動画に見える。

音のディジタル表現

音は,空気の振動の波によって伝達される。図4の元の波形は,波を電圧の強さの変化で表している。音は,一定の時間間隔でデータを収集し(標本化),収集したデータを決められた大きさの離散的数値にし(量子化),2進法で表す(符号化)ことでディジタル化される。
図4 音のディジタル化

データの大きさと誤差

ディジタル化において,1秒間に区切る間隔が何回あるかをサンプリング周波数といい,この間隔ごとの電圧と実際の電圧の遣いを, 量子化誤差と呼ぶ。量子化誤差が小さいほど,実際のアナログ量が、忠実に変換されていることになる。

画像や動画像では,画素数やフレーム数が多いほど,誤差は小さくなり,アナログ量を忠実に表現できることになる。ただし,その分,変換されたデータ量は大きくなり,その情報処理は負担の大きなものとなる。

また,量子化された数値を,どれだけのビット数で表現するかを量子化ビット数というが,これが大きいほど,多段階の表現が句能となり,量子化誤差は小さなものとなる。ただし,この場合もデータ量は大きくなる。
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